川崎スカイフロント(キング スカイフロント) i-Newsletter

川崎スカイフロント(キング スカイフロント) i-Newsletter

ビデオ特集

Vol.5, October 2015

高瀬守氏

ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社 メディカル カンパニー
メディカル プロフェッショナルエデュケーション
シニアマネジャー

ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は、医療機器、人工関節、腹腔鏡、胸腔鏡等、様々な製品を扱っており、こうした製品が手術で患者さんに正しく使用されるよう、安全・適正使用を推進することが東京サイエンスセンター(TSC)の第一の目的になっています。医療機器は年々発展をしており、より複雑で高度な医療機器が非常に多くなっています。

J&Jとしましては、1992年福島県の須賀川市にメディカル イノベーション インスティテュート オブ テクノロジー(MIT研究センター)という、内視鏡のトレーニングセンターを設立しました。1990年頃に、日本で腹腔鏡下胆嚢摘出手術という新しい手術が開発されまして、このような手術を安全に患者さんに届けるため、トレーニングの場としてMIT研究センターを開設いたしました。

内視鏡手術は年々多くなっており、MIT研究センターだけでは受け入れる先生方の数が限界に近づいているということもあり、昨年8月に川崎市のキング スカイフロントにTSCを新たに開設しました。

TSCは羽田空港に非常に近い恵まれた立地で、日本全国から来られる医療従事者の方、また最近、日本のドクターに学びたい海外、特にアジアのドクターから非常に注目をされています。羽田空港に降り立った先生方がこちらのトレーニングセンターにいらして日本の先生方と一緒にインターナショナルプログラムに参加されるといったことが増えております。

TSCで提供されているインターナショナルプログラムは、すべて英語で行われています。

このTSCは今までのトレーニングセンターと異なり、外科系の先生方以外に脳神経外科、整形外科、循環器科、糖尿病を扱う先生方等、様々な診療科の先生方にお越しいただいています。

代表的なプログラムとしては腹腔鏡、胸腔鏡を中心とした低侵襲治療のプログラム、X線を使った整形外科のプログラム、カテ室と呼ばれるX線の造影装置を使った血管内治療のプログラム、糖尿病の自己血糖測定器を正しく扱うためのプログラム等があり、様々な診療科の先生方、もしくは看護師の方々にプログラムを提供しております。

医療機器は医薬品と異なり、その製品を正しく使用していただき、100%のパフォーマンスを発揮することによって初めて本来の効果が生まれるという特性があります。安全・適正使用のセミナーでは、臨床でその製品を使い慣れ、正しく使用していただいている先生から、参加される比較的若手の先生方に対して、我々の製品の特性を説明していただいています。

TSCにはアジアや日本の先生方が多く来訪されます。患者の体格や骨格は欧米とは異なりますので、アジアや日本特有のニーズに合わせた製品の改良、開発につなげ、アジアの中でのアンメットニーズに応えていく施設を目指しております。

TSCでは新しい取り組みとして、臨床に限りなく近い模擬臓器を使った新しいトレーニングプログラムを協力企業と共同開発しております。

現在開発している模擬臓器は、電気メス、超音波凝固切開装置、自動縫合器といった実臨床で使う医療機器をそのまま使用してトレーニングができる、まったく新しい素材、まったく新しい製品となっております。

TSCで行うセミナーのインストラクターには、日本の優秀な先生方にお越しいただいています。参加する若手の先生方からは、熟練した先生から身近に学べると高く評価されておりまして、セミナー終了後のネットワーキングの中でインストラクターの先生方とのつながりが非常に重要視されています。

また日本国内だけでなくアジアから来られる先生方からも、日本の先生方の手技を学びたい、日本の先生方の繊細なテクニックを自分の施設に取り入れたいというニーズがたくさんあります。
アジアの先生方と日本の先生方をつなぐインターナショナルプログラムが今後ますます加速していくと思っております。

最近、外科医が不足しているという声がよく聞かれます。J&Jでは、小学校、中学校、高校生向けにブラック・ジャック セミナーを開催し、医師の先生方と一緒に将来外科医を目指す子供たちを増やそうという活動を各地で行っております。キング スカイフロントが位置している川崎市もサイエンスに非常に力を入れている都市でありますので、川崎市の病院と共同でブラック・ジャック セミナーを開催して、川崎市の子供たちが将来外科医を目指すようなイベントを作っていきたいと思っています。

キング スカイフロントには、日本を代表するような研究施設がこれからもどんどん立地します。TSCには日々の臨床をされている先生方がお越しになります。お越しになる先生方とキングスカイフロントにいらっしゃる基礎の先生、応用の先生、そういった研究者の方々をつないで何らかのネットワークを作るような展開を考えています。このような取り組みにより、キング スカイフロントがますます発展していくことに寄与できればと考えております。

日本の先生方や日本の臨床は、アジア各国・欧米からも高く評価されております。グローバルからも、このエリアにTSCができ、日本そしてアジアの先生方のトレーニングのフラッグシップになることが注目を集めております。今後ますます日本の先生方がこのキング スカイフロントから世界に向けて様々な医療技術を発信していくことになると期待しています。