ビデオ特集
Vol.8, December 2016
塩野博文氏
株式会社ニコン メディカル事業推進本部
第一開発部 第一開発課長
事業の内容
ナノ医療イノベーションセンターには、化学的な実験、生物分野の実験、更に微細加工エンジニアリングの環境があります。我々、メーカー・ニコンは、新しい診断用機器を作るのに非常に適した環境だと思いここに研究拠点を置いて仕事を進めています。
ニコンは、来年の7月に100周年を迎えます。これまでは既存事業、光技術と精密機械技術をもとにした、カメラ、ステッパーと呼ばれている半導体製造装置、液晶パネル製造装置、さらに光学技術を使った測定装置や顕微鏡といった製品で事業を進めて参りました。今後のさらなる発展を目指して、新たな領域、医療分野に対して製品を出していこう、ということで2014年6月にメディカル事業推進本部を発足、医療分野での製品開発を進めています。ニコンからiCONMには十数名の技術者が来て要素技術開発、および製品開発を進めています。
iCONMの魅力
ナノ医療イノベーションセンター、iCONMの魅力は大きくは2つだと考えています。
一つは開発環境。微細加工ができるエンジニアリングの環境、科学、化学的な実験が出来る環境。そして、生物、臨床科学が出来る環境があります。ここで要素技術をきちっと開発することが出来ます。更に、バイオセーフティレベル2の実験環境が出来るので、作成した要素技術をアセンブルしたシステムの評価までこの実験研究所で出来るということが、開発環境に関する大きな魅力です。
もう一つは人脈、ネットワークに関して魅力を感じています。非常に優秀なアカデミックの研究者たちや他の企業の技術者の方々がいらっしゃいます。その方々とのディスカッションやネットワーク形成をすることが我々ニコンのメンバーのレベルアップにつながると考えています。
研究内容
我々が得意とする光学技術と精密加工技術をもとにした、体外診断システムの開発を目指しています。
微細加工技術をもとにした、「マイクロタス(Micro-TAS)」と呼ばれる細かい流路を持ったバイオデバイス(Bio-device)技術を開発しました。そして我々ニコンが得意とする光学技術をもとに、高感度なバイオデバイスの開発を行いました。
COINS Project
特に要素技術開発におきましては、ナノテクノロジーをもとにした東京大学工学部の一木先生等のコラボレーションにより要素技術を開発し、それをもとに研究開発及び製品開発を進めています。
COINSで開発しているナノ診断システムは、測定制御装置とプラスチックでできたカートリッジの組み合わせです。カートリッジ部は、血液を入れるサンプルイン(Sample-in)、そして答えが出てくる、サンプルインリザルトアウト(Sample-in result-out)、という流れを実現することを目的としています。サンプルインリザルトアウトが完成すると、迅速で手軽な検査が出来ます。このナノ診断デバイスは、たいへん大きな期待が寄せられている、新しいバイオマーカーとして期待されているマイクロRNAの種類と量を検出しようというシステムです。マイクロRNAを測定することにより、早期のがんの発見及び診断が可能になるかもしれません。更に様々な疾患の状態が分かる可能性を秘めたバイオマーカー、これがマイクロRNAです。
キングスカイフロントへの期待
2020年になり多摩川に橋が架かると、ここから歩いて15分程度で国際線ターミナルに行くことができます。非常にグローバルなネットワーク形成が期待できると思っています。