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2017.07.31

東京工業大学が、スパコンと化学合成技術を融合した世界初となる中分子IT創薬研究拠点を、キング スカイフロントに設立

東京工業大学が、スパコンと化学合成技術を融合した世界初となる中分子IT創薬研究拠点を、キング スカイフロントに設立します

-東京工業大学・川崎市の提案事業が、文部科学省「平成29年度地域イノベーション・エコシステム形成プログラム」支援対象に採択されました-

【要点】
○国立大学法人東京工業大学(以下、東工大)と川崎市が共同提案した事業プログラム「IT創薬技術と化学合成技術の融合による革新的な中分子創薬フローの事業化」が、文部科学省「平成29年度地域イノベーション・エコシステム形成プログラム」支援対象に採択されました(全国で10件採択。補助額は年1億5,500万円)。

○本プログラムでは、スパコンや機械学習を駆使したIT創薬技術と、人工ペプチド・人工核酸などの独自の化学合成技術を融合して、中分子創薬の開発効率の大幅な改善を目指します。

○東工大の学内に異分野の教員が集結する研究体制を構築するほか、川崎市の殿町国際戦略拠点「キング スカイフロント」(以下、キングスカイフロント)内に整備予定の東工大拠点について、さらに中分子に関する研究機能を強化した「中分子IT創薬研究拠点(MIDL)」として今年度内に設立予定です。中分子創薬分野にIT創薬の手法を導入する試みは独自性が高く、専門施設としては世界初となる見込みです。

【概要】
 東工大と川崎市は共同で、中分子(注1)IT創薬(注2)に関する事業化プロジェクトを含む、イノベーション・エコシステム形成に向けた研究開発プログラムを実施する。「IT創薬技術と化学合成技術の融合による革新的な中分子創薬フローの事業化」と題する事業プログラムは、このたび文部科学省による「平成29年度地域イノベーション・エコシステム形成プログラム」支援対象に選定された(平成29年7月31日(月)文部科学省プレスリリース)。支援期間は、平成34年3月までの5年間の予定。
【研究の内容】
 東工大の情報理工学および生命理工学の学問的蓄積とスパコン技術を活かして、IT創薬技術、人工ペプチド・人工核酸合成技術等のコア技術の融合による革新的な中分子創薬事業フローを構築する。
【研究の体制】
 同プログラムは、東工大のキャンパス内で実施されるだけでなく、川崎市の殿町国際戦略拠点「キングスカイフロント」(注3)内に、中分子IT創薬研究拠点(MIDL)(注4)を設立し、川崎市内企業等(注5)が参加する大型の産学官連携事業として展開する。設立予定場所は、大和ハウス工業㈱が開発・設計・施工する殿町3丁目A地区内のⅡA棟1階。
【研究の拠点】
 東工大では、かねてよりキングスカイフロントへの研究拠点の新設を計画しており、当事業の支援採択を受けて、さらに研究機能を強化した中分子IT創薬研究拠点(MIDL)として施設を設置する。中分子創薬分野にIT創薬の手法を導入する試みは独自性が高く、専門施設としては世界初となる見込み。
 川崎市内の企業等との産学官連携により、基礎・基盤研究と創薬事業を橋渡しするイノベーション・エコシステムを形成することで、中分子創薬の開発効率の大幅な向上を目指す。
【用語説明】
(注1) 中分子とは、ペプチドや核酸など、分子量が500~30,000程度の分子を指す。従来の創薬の主流は、分子量が500以下となる低分子を合成することであり、いわば「低分子創薬」だった。これに対して近年、抗体などの高分子を使った創薬(たとえば、がんに対するオプジーボなど)が新たに登場したが、人工的な合成ができず高度に管理された条件下で動物細胞を使って作成されるために、きわめて高額であるなどの欠点があった。中分子は化学合成が可能でありながら、高分子に似た様々な利点を有しており、創薬の新たな中心になると期待されている。
(注2) IT創薬とは、創薬の過程において、薬剤標的分子の決定支援から、実際の候補化合物の選択、体内安定性、膜透過性、毒性などに至るさまざまな側面で、情報技術(IT)を駆使した手法のこと。知識処理、機械学習、分子シミュレーションなどを主に用いる。
(注3) 川崎市川崎区殿町に位置する国際戦略拠点「キング スカイフロント」は、世界的な成長が見込まれる健康・医療・福祉・環境分野において、最高水準の研究開発から新産業を創出するオープンイノベーション拠点。現在50社を超える企業・研究機関が集積し、運営を開始している。
(注4) 中分子IT創薬研究拠点(MIDL:Middle Molecule IT-based Drug Discovery Laboratory)は、新たな創薬技術として注目される中分子創薬に、スパコンを用いた分子シミュレーションや機械学習などの最新の情報技術を活用する東工大の研究拠点。中分子創薬の分野にIT創薬の手法を導入する研究グループとしては世界初。
(注5) 川崎市域のIT系・化学系・創薬系の企業との連携を強めていく。本事業における現時点での協力企業等は以下のとおり。(公財)川崎市産業振興財団、川崎信用金庫、㈱横浜銀行、㈱浜銀総合研究所、㈱みらい創造機構、㈱ファストトラックイニシアティブ、MVP㈱、ペプチドリーム㈱、㈱レベルファイブ、㈱情報数理バイオ、㈱カタリスト、モジュラス㈱

2017.07.31_news