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ニュース&イベント

2015.06.10

片岡一則教授らが“切らない手術”を実現するナノマシンを開発、記者会見を行いました

東京大学教授で「ナノ医療イノベーションセンター(iCONM)」*1センター長の片岡一則氏をはじめとするCOINS*2研究者らが、ランタン系遷移金属のガドリニウム(Gd)をがん組織に選択的に送達するナノマシンを開発。がんの磁気共鳴画像診断装置(MRI)による診断と中性子捕捉治療*3における有用性を実証し、2015年6月1日に発行された「ACS Nano」*4において発表しました。

ナノマシンによる切らない手術(ケミカルサージェリー)の実現によって、患者に負担の少ないがん治療、将来は入院不要の日帰り治療が可能になると期待されます。

詳しくはこちら

*1 ナノ医療イノベーションセンター(iCONM)
川崎市川崎区殿町の国際戦略拠点(キングスカイフロント)におけるライフサイエンス分野の拠点形成の核となる先導的な施設として、文部科学省は、「地域資源等を活用した産学連携による国際科学イノベーション拠点整備事業」の支援を受け、川崎市、公益財団法人川崎市産業振興財団が整備を進め、2015年4月に完成した研究センターです。 産学官が一つ屋根の下に集い、異分野融合体制で、革新的課題の研究及び研究成果の実用化に取り組みます。

*2 COINS
COINS(Center of Open Innovation Network for Smart Health: コインズ)は、文部科学省・科学技術振興機構「革新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM)」の採択拠点で、将来の社会ニーズを先取りし、国内外の大学や企業が最先端の技術、人材、アイディアを持ち寄ることで「未来を変える製品・サービス」を開発する全く新しい発想の研究拠点として、医療にかかる手間やコスト、距離を意識することなく、病気や治療から解放され、日常生活の中で自律的に健康を手にすることができる「スマートライフケア社会」の実現をテーマに掲げています。

*3 中性子捕捉治療
生体に安全な熱中性子線とがん組織に取り込まれた中性子との反応断面積が大きい元素との核反応によって発生する粒子放射線によって、選択的にがん細胞を殺傷する原理に基づく新規がん治療法。この治療法に用いられる中性子増感元素としては10B、157Gd等が考えられているが、現在はホウ素のみが臨床応用されています。

*4 ACS Nano
2007年に創刊された米国化学会発行のナノテクノロジー専門誌で、インパクトの大きい論文が数多く発表されています。ナノサイエンス・ナノテクノロジーの分野では世界トップクラスの学術誌として、高いインパクト・ファクターを獲得しています(IF=12.033)。

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