menu
TOP > ビデオ特集 > 秋永士朗氏

Vol.18,March 2020

秋永士朗氏

アキュルナ株式会社 代表取締役社長 薬学博士

1.設立の背景、事業内容と目的

アキュルナは、2015年の12月に設立されたバイオテック企業です。

iCONMのセンター長で、東京大学の教授も兼務していらっしゃる片岡一則先生のドラッグデリバリーシステム、いわゆるDDS技術をベースにしています。

もう一つの側面としては、このCOINSの目的であるスマートナノマシンの社会実装、ということでベンチャー企業を作るということ自体が目的の一つになっていましたので、その受け皿としてアキュルナが存在するということになります。

アキュルナの事業内容は、大きく二つあります。

一つは創薬パイプラインいわゆるドラッグディスカバリーですね。ですからミニ製薬企業として機能していますけれども、皆さんご存じのようにバイオテックというのはそれ自体がお薬を販売製造・承認を受けることは非常にハードルが高いのです。

初期段階の創薬を行って早期に製薬企業さんやバイオテック企業さんにアライアンスをする、こういう事業が一つの柱です。

そしてもう一つの柱は、もともとの特許技術を入れた、プラットホーム技術を入れましたので、製薬企業さんや、場合によっては大学アカデミア、あるいはバイオテック企業さんに非独占実施権を与えて、様々なインキュベーションを行うことです。

核酸医薬といってもアキュルナは、AccuRNA, 基本的にはRNAを標的にします。ただRNAと言ってもSiRNAのように短いものですね。SiRNAの兄弟であるアンチセンスオリゴはDNAです。

これを含む、いわゆる短鎖オリゴ核酸と言われるものと、もう一つ、メッセンジャー RNA、我々はこのメッセンジャー RNA自体を薬に使います。メッセンジャーRNAの治療のいいところは、これはゲノムには入らないということです。

バーコードで一回転写されたものですから、そういう意味でメリットがあります。

2.事業・研究の特徴

SiRNAは不安定ですので、アンチセンスオリゴのように直接投与はありません。Patisiranという核酸医薬(siRNA)は、Liquid Nano Particle (LNP) を使っています。これは、一般的に非常に汎用されており、われわれのポリマーのライバルというべきものです。

実は、このLNPを使った抗がん剤としてのSiRNAの開発は、ここまであまりうまくいっていません。ですから、われわれは、(後で述べますように)新たな臨床試験を行うことも考えています。

ドラッグデリバリーシステムでうまくいっているのは、 肝臓ターゲットだけなんですね。だんだん肝臓だけでは満足できなくなります。

有効性が高いことがわかると、肝臓以外でやりたい、腫瘍はどうか、と思い始めます。ですから、われわれの特徴として、YBCポリマーは腫瘍選択性があって、あまり肝臓に行かない、ということです。メッセンジャーRNAについては、今のYBCポリマーは静脈内注射で色々な箇所に行ってくれます。

このYBCポリマーを使って、実は既に医師主導治験の準備が整いつつあります。われわれが行なっていることは、GMPで核酸医薬を作ったり、製剤化をお手伝いすることです。医師主導治験も、やはり事務局が必要なので支援しました。

昨年の12月6日に、治験申請を出しました。2月か3月には First Patient In が期待されています。

二年半程、これにかなり注力して資金もかなり投入してきてようやく医師主導治験にたどり着きました。
片岡先生も自分の研究が臨床に入るということで、大変に喜んでいただき、大きな期待をかけています。新しいバイオマーカーを見るような共同研究もありますし、多くの情報をここから得ていこうと思っています。

3.将来の展望

三つあると思っています。一つは、やはりわれわれのYBCポリマーという新しいsiRNAやアンチセンスオリゴを、肝臓以外に届ける、 主に腫瘍に届ける、ということです。今は乳がんと膠芽腫が中心で、非常に偏った、というより全く異なる部位のガンと戦おうとしています。

この二つのターゲットとする癌が、われわれYBCポリマー に向いているかどうかは、まだわかりません。

その中で、パートナーを得て、他の癌にも使えるようになるということは、このYBCポリマーの良さや強みを知る上で必要なことではないか、と思います。

最終的には、先程申し上げたリキッドナノパーティクル(LNP)という大きなライバルがいます。

われわれはLNPとの差別化、そして、どういった強みを持っているかを明確にしたい、そのためには一つやはり治験のように、基礎的な研究より臨床研究を通じてDDSの強みをつくりあげたい、というのがまず最初の近未来展望といえるかもしれません。

二つ目は、いわゆるPrecision Medicine Approach という考え方です。メッセンジャーRNAを使ったNeo Antigen Vaccine、つまり患者さん個人の Antigen を、Next Generation Sequenceで全部読んで、それをメッセンジャーRNAに落として免疫する、 という方法が、もう既に進んでいます。

フォーマットとしての核酸医薬という考え方をとると、Precision Medicineに最も向いている、と言えると思います。
抗体の場合もPrecision Medicine化が可能ですが、抗体というのは半減期が長いのが特徴ですのでPersonalized Medicineにするのは今の段階で技術的に難しいのですが、核酸医薬であればPersonalized Medicineに持っていけるだろう、という点が二点目です。

東京医科歯科大学の位高先生とは共同研究という一つのきっかけがあります。それを使って、メッセンジャーRNAカンパニーとしても伸びていきたいと思います。

メッセンジャーRNAを直接医薬にするか、メッセンジャーRNAをアンチセンスオリゴやSiRNAでたたいて下げるか、という2つの方法があります。われわれの最近の企業ピッチの一枚目は、Messenger RNA as a target for therapyというスライドです。このような訴求をしています。

4.キングスカイフロントに期待すること

iCONMに入るメリットについて。我々は、片岡先生と特許を入れてノウハウを提供して頂いています。片岡先生との密接なコミュニケーションを取りながら、共同研究も行なっています。

接触しなければ、人間同士は知り合うこともなく、コミュニケーションがないところに何も生まれないわけですから、近くにいることは非常に大きなメリットです。良いニュースは、この川の向こうの羽田空港が、意外に遠いのですが、間もなく橋がかかりますのでキングスカイフロントには大きな期待をしています。

←戻る
ページのトップへ