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Vol.14,February 2019

奥田晴宏氏

国立医薬品食品衛生研究所 所長 薬学博士

国立医薬品食品衛生研究所の設立背景・目的

国立医薬品食品衛生研究所、国立衛研と呼んでいますが、国立衛研の設立は明治7年(1874年)にさかのぼることが出来ます。国立の研究所としては最も歴史ある研究所とのことです。明治初期、西洋医薬の導入が本格化した際に、粗悪な薬がたくさん入ってきました。そこで時の政府は、海外から呼び寄せた薬学者ゲールツ氏の進言もあり、医薬品を化学分析・検査する「東京司薬場」を設立しました。それが当研究所の起源です。
   ゲールツ博士は日本の薬学の発展に大きな貢献をした先生で、最初に日本薬局方を起草された先生です。その先生を記念して先生が書かれた日本薬局方前文の一部を当研究所の多目的スペースの壁面にプリントしています。
   その後、時代は変遷し、業務範囲として医薬品のみならず、食品や我々の周りを取り巻く様々な化学物質を含めるようになりましたが、基本的なスタンスは変わらずに、品質・安全性・有効性を正しく評価するための試験研究を行っています。
   そしてその試験研究の成果が、主に厚生労働行政を通じて、国民の健康や生活環境の維持向上に役立つことを目的としています。
   このような研究分野はレギュラトリーサイエンスと呼ばれるのですが、私たちの研究所はひとことで言うと、レギュラトリーサイエンスを実践している研究所ということができると考えています。

業務内容

国立衛研では20の研究部が大きく4つの分野で活動を行っています。
   一つ目は、医薬品・医療機器・再生医療等製品部門です。この分野では、医薬品、iPS細胞などの再生・細胞医療等製品、医療機器の品質、安全性の評価法やその標準化等に関する研究や医薬品等の適正使用の推進及び重篤副作用等に関連するバイオマーカー探索などの研究等を行っています。
   二つ目は、生活衛生・食品安全部門です。ここでは食品中の汚染物質に関する分析法の研究、食品添加物の規格設定、ノロウイルスや食中毒菌などによる健康被害を防止するための試験・研究などを行っています。
   三つ目は安全性生物試験研究センターです。センターでは実験動物や細胞等を用いて、化学物質の安全性及び有効性を確保するための試験・研究を行っています。
   最後の、複合領域・情報・基礎支援部門では、医薬品等の有機化学的研究、化学物質によるアレルギーに関する生化学的な研究や国内外の食品の安全性情報の収集・解析・提供を行っています。

キングスカイフロントにおける具体的な業務内容

キングスカイフロントで行う研究活動として私たちは3つの研究の柱を設定しています。
   柱1は、先端的医薬品・医療機器の開発を支援するレギュラトリーサイエンス研究です。新しい医薬品がスムーズに開発され、安全にかついち早く患者さんに届けるための土台作りの研究です。
   柱2は、食とくらしの安全、化学物質の安全研究で、国民が安全で健康に暮らしていくために役立つ研究を行っていきます。
   柱3は、健康危機管理、国として不可欠な試験・検査です。国立衛研の設立理由でもあり、国民のセキュリティー確保に必須な試験検査は最重要であると位置づけて研究をしていくつもりです。
   さらに3つの柱を横断するような、AIを活用した医薬品・食品・化学物質3分野の融合プラットホーム研究を開始したところです。

他立地機関との連携

実は、川崎市健康安全研究所や実験動物中央研究所(実中研)とは連携して研究しています。またこの地区に進出されているアカデミアとも共同研究が開始されています。今年初めにキングスカイフロントネットワーク協議会が結成され、この地区進出機関との情報共有の場が出来ました。私たちもこのネットワークを通じて、セミナーなどのお知らせを行い、他機関の研究者に参加を呼び掛けています。このような場を通じて研究者同士の情報交換が広がり新たな研究テーマが生まれることを期待しています。

キングスカイフロントへの期待

この地区は、革新的な医薬品・医療機器等の開発・製造と健康関連産業の創出を目的とした京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区の中心拠点の一つです。多くの研究機関や企業が集積しています。国立衛研は、この地区の方々と共同して、この地区を21世紀のレギュラトリーサイエンスの拠点としたいと考えています。
   また、この地区の国際性は大きな魅力です。ここは東京国際空港の目の前に位置しており、2020年に多摩川に橋が架かることにより、一層近くなります。私たちは色々な規格基準やガイドラインの作成を行う機会が多いのですが、そういった基準作りには国際調和が欠かせません。国際空港が近くなることによって、海外の研究者が気軽に国立衛研に立ち寄ってもらえるようになれば、海外の生の情報を知る機会が増え、世界に通用する基準作りがよりスムーズにできるのではないかと考えているところです。
   キングスカイフロントのメリットを生かした研究をしてこの地区のサイエンスに貢献したいと強く願っています。

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