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Vol.4,June 2015

ヒト肝細胞移植マウスを用いた農薬毒性の評価

農業で使用されるアセフェートやクロルピリホスなどの農薬は、食用農作物に浸透する可能性がある。体内、とりわけ肝臓における農薬の影響を監視することは難しいとされてきた。その一因は、適切な動物モデルの欠如である。

今回、昭和薬科大学の山崎浩史教授らは、実験動物中央研究所の科学者らと共同で、ヒト体内における農薬の潜在的毒性を評価する新たな手法を開発した。これは、「ヒト化」肝を有するマウスと生理学的薬物動態(PBPK)コンピュータモデルを組み合わせた手法である1

これまでの肝再構成のげっ歯類モデル とは異なり、ヒト化マウスは継続的な薬剤投与を行わなくとも生存できる。山﨑教授らは、マウス肝細胞の70%をヒト肝細胞と置き換え、野生型マウスおよびヒト化マウス双方にアセフェートとクロルピリホスを投与した。その後、マウス体内でのこれら農薬および関連する代謝物の動態を追跡し、血漿中農薬濃度の違いを検討した。

これらの実験を基に、研究者らはPBPKモデルにより算出されたヒトでの農薬吸収予測値と、ヒト化マウスから得られたin vivo結果を比較した。PBPKモデルでは、アセフェートはマウスおよびヒト双方で、腎排泄を介して同様の速度で除去されると予測された。同予測は、マウスを使った実験により実証された。一方、クロルピリホスのクリアランスは、肝臓と肝代謝率によって異なる。PBPKモデルでは、ヒトでのクリアランスはマウスに比して遅いと予測された。これもヒト化マウスから得られた結果と一致している。

ヒト化マウスを使った実験の結果とPBPKモデルを組み合わせることは、ヒトがアセフェートまたはクロルピリホスを偶発的に大量または少量摂取した場合の潜在的毒性を評価する上で有用である。

Reference and affiliations

  1. 1. Hiroshi Suemizua, Shigeto Sotab, Miyuki Kuronumaa, Makiko Shimizub, Hiroshi Yamazakib Pharmacokinetics and effects on serum cholinesterase activities of organophosphorus pesticides acephate and chlorpyrifos in chimeric mice transplanted with human hepatocytes. Journal of Regulatory Toxicology and Pharmacology 70 (2014) 468-473

a. Central Institute for Experimental Animals, Kawasaki-ku, Kawasaki 210-0821, Japan

b. Laboratory of Drug Metabolism and Pharmacokinetics, Showa Pharmaceutical University, Machida, Tokyo 194-8543, Japan

*Correspondence: hyamazak@ac.shoyaku.ac.jp

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0273230014001901?via%3Dihub

Figure:

右がNOGマウス。左がTK-NOGマウス。
TK-NOGマウスはガンシクロビル投与により肝臓障害を誘発し黄疸の症状を呈する。(尾や耳が黄色になっている特徴がある)ガンシクロビル投与後にヒトの肝臓細胞を生着させることができる。

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