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Vol.4,June 2015

小脳発生においてカドヘリン-7が担う2つの役割

神経回路の正確な接続とシナプスの正しい形成は、正常な神経系の構築と維持にとって極めて重要である。小脳(運動の調整を司る脳の部位)では、シナプスによって神経細胞が接続されることで、機能的な神経回路が形成される。

具体的には、「苔状線維」と呼ばれる神経回路によって、脳の別の部位から小脳へと情報が伝達される。このような通信網を形成すべく、発生中の脳では、苔状線維橋核(PN)神経細胞 が伸長し、軸索(神経線維)となって小脳の顆粒細胞と接続する。このようなプロセスは、通常、生後3週目までに生じる。しかし、PN神経細胞の伸長を止め、顆粒細胞と接続する分子メカニズムについては解明が進んでいない。

今回、慶應義塾大学の岡野栄之教授らは、東京慈恵会医科大学の科学者との共同研究により、カドヘリン-7(Cdh7)と呼ばれるたんぱく質が、小脳内で軸索の伸長を適切なタイミングで止め、軸索と顆粒細胞間のシナプス形成を促して両者を特異的に結びつけていることを示した1

岡野教授らは、マウスの組織サンプルに対して、DNAマイクロアレイ手法および免疫組織化学手法を用いた。その結果、Cdh7がPN神経細胞、とりわけ顆粒細胞との接続を形成する軸索で高く発現することが明らかになった。さらに、顆粒細胞膜においてもCdh7の高い発現が認められた。

PN神経細胞が小脳に達すると、Cdh7によって「軸索の伸長」から「シナプス形成」へと切り替えられる。その結果、2種類の神経細胞間でシナプスが形成され、両者が特異的に結びつけられるのだ。Cdh7の発現をノックダウンした別のin vivo実験では、PN神経細胞の接続において重度の障害が生じた(図参照)。

これらの知見は、発生中の脳における神経接続と回路形成の解明に役立つであろう。

Reference and affiliations

  1. Ken-ichiro Kuwako1, Yoshinori Nishimoto1, Satoshi Kawase1, Hirotaka James Okano2 and Hideyuki Okano1 Cadherin-7 regulates mossy fiber connectivity in the cerebellum. Cell Press 9 (311-323) (2014)

1Department of Physiology, Keio University School of Medicine, 35 Shinanomachi, Shinjuku-ku, Tokyo 160-8582, Japan

2Division of Regenerative Medicine, Jikei University School of Medicine, 3-25-8 Nishi-Shinbashi, Minato-ku, Tokyo 105-8461, Japan

*Correspondence: kuwako@z2.keio.jp (K.-i.K.), hidokano@a2.keio.jp(H.O.)

https://www.cell.com/cell-reports/fulltext/S2211-1247(14)00739-6?_returnURL=https%3A%2F%2Flinkinghub.elsevier.com%2Fretrieve%2Fpii%2FS2211124714007396%3Fshowall%3Dtrue

Figure:

キャプション:慶應大学の研究者らにより、小脳における正常なシナプス接続形成を促すたんぱく質、カドヘリン-7(Cdh7)の役割が解明された。

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